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ブが推奨されている。
バス用ATは世界で年間18500台製造されているうち、ZF杜のシェアは約50%でトップ(2位はアリソンの35%)に位置し、欧州だけで見ると、7000台のうち約3/4を占めるという。
リヤ用ドロップアクスルは、現在年間3500台の製造であるが、低床化率が今後さらに伸びていき、2、3年後には倍になることが予想されている。アクスル分の部品としてのコストアップは約3割増と言われているが、バス全体の価格では、低床化用パーツの増高分は10%程度で、生産増と競争によりさらに小さくなることも予想されているという。
引き続いて、今後の路線バスの在り方についての話題に移った。ZF社では路線バス2000というコンセプトを打ち出し、低床化とならび低公害化も重要課題として取り組み、その一つの姿として、電気駆動を提案している。これはEEドライブと称され、既にメルセデスベンツと共同開発の、モーター組み込みリヤアクズルが数年前に発表され、最近ディーゼル電気ハイブリッドバスやトロリーバスとの共用車などが登場している。開発責任者から話を伺い、技術討論を行った。
EEドライブは、駆動系レイアウト、低燃費、ZEVへの適合性の3つの目標から開発されたシステムである。低床化を押し進めるにあたり、ディーゼルエンジンから駆動される車軸の形態では、通路部高さ、幅に制約があり、抜本的な変更を伴わなければ改善の余地がほとんどない状況にあった。これを電気駆動とすることで、パワーソースと駆動部を切り離すことが可能で、さらにホイールインタイプのモータを採用できれば、通路部地上高は320mm程度まで下げられ、シングルタイヤとの組み合わせによれば通路幅900mmも可能となる。以上のようなアイデアから基本的なレイアウトが検討された。低燃費化については、エンジンを最良の効率点で回すことのできるディーゼル発電。モータ駆動方式が検討され、バスの運行状況、各種効率の計算の上、燃費・エミッション・代替燃料への対応性の観点から、この方式の良さが確認された。モータ駆動方式とすることで、変速機を不要とし、きめ細かなトラクションコントロールが可能になる点もメリットにあげられる。さらに欧州では、街づくりの観点から、バスにも中心地でのゼロエミッション性が要求されるようになってきている。その場合、エネルギーを貯める装置とそのパワーソースで必要距離走行できるシステムが必要となり、エンジンの直接駆動は不可で、モータ駆動が必須となる。このような背景から、EEドライブコンセプトが構築され、ハードのレイアウト、パワーラインのシステムなどが検討された。その結果、75kWの空冷ハブモータとその制御システム、モータ組み込みのダブルタイヤタイプリヤアクスルが、開発され、プロトタイプの実車が作られた。現行の低床バスに比べ、システムの複雑化により一般的に重量増も予想されるが、試作機はシステム全体としても、ばね下重量でも、ほぼ同程度の重量となった。(厳密には100kg程度の重量増となったが、量産までに改良の余地があるという。)全負荷での総合効率は、従来車にやや劣るが、発進停止を繰り返す路線バスの使用状況では、1kmあたりの平均停車数が3回を超えると、EEドライブの燃費は格段に向上する。
現在までの試作形式は3種。GVW12t級のマンNM152をべースとしたものは、ゼロエミッションを中心に考えたもので、ゼブラバッテリ搭載により、80−90km走行でき、また5分程度の急速充電で200m走れるという。加速性能としては0から50

 

 

 

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